医療先進都市の実像~ロチェスター訪問団報告(4) 「三つの盾」2017年06月10日
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最新のトレーニング機器を試す訪問団員=米ミネソタ州ミネアポリスのメイヨークリニック・スポーツ・メディシン
その中心街のビルの一角にメイヨークリニックの関連企業「メイヨークリニック・スポーツ・メディシン」がある。ロビーには三つの盾を模したメイヨークリニックのロゴマークが、誇らしげにライトアップされていた。ここは病院本体の先進的な研究を活用し、アスリートの能力を高めることを目的にしている。 プロチームと契約を結んでおり、磁気共鳴画像装置(MRI)や再生医療の設備も整う。担当者は「何よりも正確な診断が大切。今日の試合に出場できるかどうかの判断が必要だから」という。さまざまな最新鋭のトレーニング機器も整備され、一般にも開放されている。だが予約制で15分約8800円。トレーナーが付きっきりで指導するとはいえ、決して安くはない。 ![]()
「研究は周りのスタッフのサポートもあって順調」と語る冨田恭子さん=米ミネソタ州ロチェスター市
冨田さんは内科、特に肝臓の専門医。2015年4月からメイヨークリニックの消化器・肝臓分野のグレゴリー・J・ゴレス医師の研究室で、主に脂肪肝に関する基礎的研究を続けている。研究室のメンバーは多国籍で生粋の米国人は半分もいない。「脂肪肝は運動療法以外、これといって有効な治療法がない。最終的には運動療法に代わるような新たな治療薬を見つけるのが目標」と語る。 ![]()
メイヨークリニックのロゴマーク。三つの盾をデザインしている
冨田さんの一日は通常、午前8時からのカンファレンス(会議)から始まり、昼食を挟んで午後も研究やミーティングを重ねる。昼食時間も無駄にならないように、無料の軽食付きのセミナーが毎日のように開かれる。業務終了は午後5時。「残業する人は少なく、みんなさっと帰る」 留学期間は今年8月まで。「少し(日本に)帰りたくない気持ちもある」と冨田さん。ロチェスター市は治安が良く、住みやすいという。「冬は非常に寒く、マイナス30度まで下がるときがある。でもスカイウェイ(空中回廊)などで病院周辺は結ばれているので、医師も患者もコートを着ずにアクセスできる」。空中回廊は、同市が進めるまちづくりのポイントの一つになっているようだ。
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