山形再興

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山形再興

プロローグ 明日を輝かせるために

2018/1/1 15:29
蔵王連峰から昇る朝日が市街地を包み、人々の営みが始まる。古里の暮らしを守ることが「地方創生」だ=山形市村木沢の展望台から

 2018年が明けた。夜の闇と同化していたまちが暁光を受けて輪郭を取り戻し、人々の営みが始まる。古里が輝いて見えるのはそこに「暮らし」があってこそだ。

 山形・鶴岡・置賜の3県が合併し現在の山形県が誕生したのは1876(明治9)年。県の人口は1950(昭和25)年の約135万7千人をピークに、減少、増加の時期を経て90年代に再び減少に転じた。今もその傾向が続く。

 山間集落から人影が消え、先人が開いた耕作地は山に返る。市街地では商店が閉まり、夜になっても明かりのともらない家が増えていく。人々の暮らしが縮小する地方に対し、人・物・金を吸い寄せて膨張する東京。政府は2014年、地方の人口減少に歯止めをかけるため「地方創生」を打ち出した。

 あれから3年。東京一極集中の構図に大きな変化は見られない。住民基本台帳に基づく人口動態調査(17年1月1日時点)によると、本県の人口は前年比1万1092人減の111万8468人。減少率は0.98%で、全国で4番目に高い。社会動態では特に若者の流出が深刻で、18~24歳の県外転出は転入の2倍近くに達する。

 若い世代を中心に県人口の減少を食い止め、地域に活力を取り戻すにはどのような施策が有効なのだろう。子どもを安心して産み育てられる環境の整備、インバウンド(海外からの旅行)促進などによる交流人口の拡大、担い手不足に悩む1次産業への先進技術の導入…。地域によって異なる課題の数だけ解がある。

 「地域おこし」や「定住対策」などの名目でこれまでもさまざまな取り組みがなされてきた。その結果がこの現状であることを謙虚に受け止めれば、従来にない価値観の設定や、大胆な決断などが求められているのは明白だ。「地方創生」を実現する即効薬はないが、その萌芽(ほうが)は足元にある。地域と歩む山形新聞は年間企画「山形再興―真の地方創生を目指して」を通じ、古里の輝きを増すための手だてを県民と共に考える。

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