山形再興

第1部・先端研究の求心力 山形大医学部(3)

2018年01月14日
診療科ごとに試験的にフロアを色分けするなど、海外からの患者受け入れを見据え、ホスピタリティーの充実が図られている=山形市・山形大医学部付属病院
診療科ごとに試験的にフロアを色分けするなど、海外からの患者受け入れを見据え、ホスピタリティーの充実が図られている=山形市・山形大医学部付属病院
 山形大医学部は、先進医療の実践と並行し、海外から治療に訪れる患者を受け入れるための環境整備を課題と捉えている。ホスピタリティー(もてなし)の充実を図ることは、世界に「先進医療都市の山形」をアピールする上で非常に重要だ。

 訪日患者の受け入れに適した医療機関を海外に向けて推奨する認証制度がある。一般社団法人「メディカル・エクセレンス・ジャパン」(東京)による「ジャパン・インターナショナル・ホスピタルズ(JIH)」(日本国際病院)だ。

 推奨病院の認証は、診断や治療、健診を望む外国人患者の受け入れ態勢が整った国内病院としての“お墨付き”を意味する。患者にとっては「安心して医療が受けられる施設」であり、政府と協調した形で、海外の病院などに積極的に情報が発信されるようになる。

 同大医学部付属病院(山形市)は2017年12月、県内で初めて推奨病院に認証された。登録は診療科単位で、最先端の内視鏡下耳科手術を行う耳鼻咽喉科をはじめ第1外科、第2外科、整形外科、眼科の5診療科が対象。全国では20都道府県の計41病院が認証されている。

 副病院長で、国際化担当の耳鼻咽喉・頭頸部(けいぶ)外科学講座の欠畑誠治教授は、20年3月の開始を見込む重粒子線がん治療を見据え、「国際化に対応するため打てる手は打つ。国外から安心して治療に訪れることができるよう、受け入れ態勢を今から用意しなければならない」と強調する。

 「日本国際病院」の認証の優位性を生かすため、山形大医学部付属病院(山形市)は院内表示や多言語対応で海外からの患者受け入れ環境を整える。

メイヨークリニック内の国際センター。さまざまな言語に対応している=2017年5月、米ミネソタ州ロチェスター市
メイヨークリニック内の国際センター。さまざまな言語に対応している=2017年5月、米ミネソタ州ロチェスター市
 院内表示は東北芸術工科大(同)と連携し、視覚的な案内機能の強化を狙う。外科や内科など各フロアで柱や壁を試験的に色分けし、窓には透明でカラフルなフィルムを張って大きめの洋数字でフロアを明示。副病院長で国際化担当の欠畑誠治教授は「情報量は多過ぎず、院内で迷わないよう視覚的に分かりやすくが大事」と説明する。

 多言語対応は既に院内でタブレット端末の通訳機能を使っているが、さらに強化する。専門性を要しない案内は県内の留学生らへの依頼も想定。患者との間で医療用語や高い専門知識が必要な通訳は、電話での医療通訳を検討している。山形大は2016年12月、医療渡航支援の日本エマージェンシーアシスタンス(東京)と業務提携を締結した。訪日患者向けに通訳や宿泊の予約などをトータルコーディネートする企業で、同大はこうしたサービスも活用したい考えだ。

 「患者のニーズが第一」を掲げ、137カ国から約132万人の患者(16年)を受け入れているのが、米ミネソタ州ロチェスター市の総合病院メイヨークリニック。文化も育ちも異なる患者のニーズに応え、受け入れ態勢を充実させている。昨年5月に視察した「日本の『ロチェスター』を目指して」訪問団(山形新聞・山形放送8大事業)のメンバーは、患者を迎え入れるために意を尽くした設備、特にアメニティー(快適性)の高さに驚いた。

 院内には常設の国際センターを設けて多言語に対応。通訳は無料で利用でき、宿泊先の手配、交通機関を案内するコンシェルジュサービスもある。病院と駐車場は「スカイウェイ(空中回廊)」と「サブウェイ(地下道)」で結ばれ、屋外に出ずに移動できる。視察に同行した伊藤直樹駐シカゴ総領事は「視察の成果を山形で生かしてほしい。医療分野の国際化を通じ、山形のブランドイメージを高めれば、インバウンド推進につながる」と語った。

 異なる宗教への対応も欠かせない。同病院内には極彩色の光が降り注ぐ瞑想(めいそう)室が設けられ、イスラム教やユダヤ教などの宗教に応じている。患者や家族が快癒などの願いを書いた紙をささげる「祈りの壁」もあった。

 山形大医学部付属病院では、イスラム教徒が宗教上の教義に従う「ハラル」に対応した病院食提供も検討中という。各国から高度医療を求めて訪れる患者のニーズを満たすため、欠畑教授は「ハード、ソフト両面の体制づくりを進め、魅力ある病院をつくっていかなければならない」と力説する。
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