県内ニュースラスク競争激化で赤字続き シベール「成功体験抜け出せず」
2019年01月18日 07:53
本県を代表する洋菓子メーカー・シベール(山形市)が17日、民事再生法の適用を申請した。「ラスク」が全国的にヒットしたが、近年は類似商品を販売する同業者との競争激化や贈答習慣の変化などを背景に売り上げが伸び悩み、直近は3期連続の赤字だった。黒木誠司社長は記者会見で「(ラスクのヒットという)過去の成功体験から抜け出せなかった。経営陣の力不足」とくちびるをかんだ。
同社はこの日夕、山形市蔵王松ケ丘2丁目の本社に従業員を集め、経緯を説明した。取材に対し従業員は「何も答えられない」「すみません、分からないんです」と言葉少なに社屋に入っていった。 本社脇の店舗に買い物に訪れた同市の会社員女性(54)は「(民事再生法の適用申請を聞き)びっくりした。店も多く、大きな会社なのに信じられない」と驚きを隠せない様子。スキー帰りに寄ったという仙台市の会社員女性(42)は「季節ごとにリリースされるラスクを楽しみにしている」と語り、再生を期待していた。 黒木社長は山形銀行出身で専務を経て2015年にトップとなり、経営再建の陣頭指揮を執ってきた。会見で従業員の雇用と既存店舗を維持する考えを示したが、再建計画に基づく不採算店舗の閉店などが予想される。創業者で10年まで社長を務めた熊谷真一さん(77)は「近年の経営状態を心配していた。多くの方々にご迷惑を掛けることになり、創業者として残念に思う。従業員の雇用が守られることを祈っている」と語った。 敷地には、複合文化施設「シベールアリーナ&遅筆堂文庫山形館」があり、熊谷さんが設立した弦地域文化支援財団が運営している。財団は「別組織のため影響はない。今後も予定通り運営する」としている。
おすすめニュース
|
文字サイズ変更
山形新聞からお知らせ
|