社説

林業学んだ農林大学校1期生 森林ノミクスけん引へ

 県立農林大学校(新庄市)に2年前に設置された林業経営学科は、本年度卒業する1期生の大半が林業関連の団体・企業に就職することが内定した。県の「やまがた森林(モリ)ノミクス」推進に貢献しており、若い世代が本県林業振興の一翼を担っていくことが期待される。

 同校の前身は県立農業大学校で、2016年度の林業経営学科新設に伴い校名を改めた。吉村美栄子知事が提唱する森林ノミクスを支える新たなリーダーの育成が同学科を設けた狙い。農業と林業の2部門がある専修学校として全国で4番目に設立された大学校で、東北では第1号となった。

 1期生は女性1人を含む15人。励まし合いながら2年間の学習に取り組んだ。進路の内訳は県内外の森林組合に6人、県森林組合連合会に1人、製材工場などに5人。3人は4年生大学に編入学し、そのうち2人は森林GIS(地理情報システム)やバイオマス利用など林業にも関わる学習を続けるという。

 8割が林業関連の団体・企業に進み、その大半が県内で働くことになった。これは本県林業界にとって喜ばしいことだろう。次代を支える人材を育て、林業の川上から川下までを改善して底上げを図るという県の方策に大きく寄与するに違いない。

 専攻科目では7割以上の時間を実習に充てている点が同校林業経営学科の特色だ。地元の森林組合の協力を受け、伐採の現場などで各種機械操作や伐採技術を学び、2年間で1人当たり100本以上の立ち木伐採を経験した。

 支援する組合職員には立派な担い手になってほしいという強い思いがあり、それは学生たちにも伝わる。活発な交流は林業の楽しさや携わる人の考えがより分かることにつながった。

 育苗、造林、木材生産・加工、山菜栽培、病害虫対策、森林経営プランニングなど身に付けた知識や技術は幅広い。学生は高性能機械の操作など現場で必要とされる資格を1人平均で10個ほど取得しており、これも将来の大きな強みになるだろう。

 県内に就職する予定の増川真也さん(19)と松田啓作さん(19)は「林業の全体像を理解できた有意義な2年間だった」と口をそろえる。「森ノミクスを支える1期生として力を発揮し、“林業の山形”と言われるようにしたい」「森林と林業のどちらも分かる一流の現場技術職員になりたい」と夢を語った。

 同校では、3年目に入る同学科を軌道に乗せ、安定した人材輩出ができるようにインターンシップや講義内容などの充実を図る。また林業関連の団体・企業と最良のマッチングとするため、学生により細やかな指導を行い、就職先が継続して確保できる土壌づくりに力を入れる。

 本県林業界は高齢化が進み、15年度就業者数は約1100人。12年前の2分の1となっている。農林大学校から新規就農者が生まれ、新たなリーダーとして森林ノミクス推進の原動力となれば心強い。森林経営の全体像や集約化施業の設計図づくりなど、専門知識が要求される分野でも力を発揮し、本県の林業再生に貢献してほしい。

(2018/02/19付)
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