社説

日本海東北自動車道 未接続区間の解消急務

 日本海東北自動車道(日東道)は酒田みなと(酒田市)―遊佐比子(仮称、遊佐町)の5.5キロ区間が2020年度までに開通する見通しとなった。日東道は酒田港を拠点とする物流効率化、広域観光の基盤づくりを含め幅広い波及効果が期待される。新潟、秋田両県境区間などの建設を促進しミッシングリンク(未接続区間)を早く解消したい。

 酒田みなと―遊佐比子間は片側1車線で無料区間。遊佐比子インターチェンジ(IC)で国道7号に接続する。同ICはいわゆるハーフインターで、日東道が遊佐比子以北に延伸されると秋田方面にのみ乗り降りできるようになる。

 日東道は新潟県から青森県まで日本海沿岸の主要都市などを結ぶ高規格道路。山形自動車道、秋田自動車道との重複区間を除く計画延長は322キロで開通区間の比率を示す供用率は約75%。県内区間の供用率は49%だが酒田みなと―遊佐比子間が開通すると約60%になる。

 酒田港ではコンテナ貨物の取扱量が近年増加し国や県が港の機能強化に取り組んでいる。同港は03年、リサイクルポートに指定され背後地へのリサイクル関連企業の立地も増えた。日東道の整備により高速道路網が広がれば酒田港を拠点とする物流がスムーズになり地域活性化に結び付くと期待される。

 観光振興にも波及効果は大きい。庄内地方では出羽三山や鶴岡市のシルク、酒田市、鶴岡市の北前船寄港地が日本遺産に、鳥海山・飛島が日本ジオパークに認定されるなど観光資源が豊富だ。酒田港の外国クルーズ船は17年に初寄港して以降、年間の寄港回数が増加している。同港や庄内空港などを活用した広域周遊ルートを構築する上でも日東道の延伸を待ち望む声は強い。

 高速道路はつながらないと効果を十分に引き出せない。物流や観光に生かすためには日東道のミッシングリンクを解消する一方、新庄酒田道路など横軸の整備も促進する必要がある。

 このほか高速道路のメリットとして救急搬送のスピードアップや国道7号に渋滞、通行止めが発生した際の迂回(うかい)路となることなどが挙げられる。通過する車両が高速道を利用すれば同国道の交通量が減り、交通事故やノロノロ運転の心配も緩和されるだろう。

 日東道のうち酒田みなと―遊佐比子間を含む酒田みなと―遊佐間(延長12キロ)は本年度50億3千万円、秋田県境をまたぐ遊佐象潟道路(17.9キロ)の県内区間(8キロ)は同10億7500万円の予算で事業を進めている。

 一方、新潟県境を通す朝日温海道路(40.8キロ)の県内区間(6.7キロ)には本年度30億円の予算が付いた。あつみ温泉―鼠ケ関間にトンネル5本、橋3本の設置が計画されている。遅れている社会資本の整備を加速させたい。

 庄内地方は高速道路が他地域とつながっておらず日東道の新潟、秋田県境区間の早期開通は悲願だ。とはいえ高速道路はもろ刃の剣と言われ、隣県の都市などに人口や資本を吸い取られるストロー現象も懸念される。官民一体で建設促進を運動するとともに経済効果を生み出す戦略に知恵を絞らなければならない。

(2019/06/17付)
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