社説

清河八郎を大河ドラマに 維新150年はPRの好機

 庄内町清川出身の幕末の志士、清河八郎が主人公のNHK大河ドラマを実現しようと、PR活動に取り組む協議会が発足した。運動を通して明治維新の魁(さきがけ)と呼ばれる八郎の人物像を全国に発信し、地域振興に結び付けたい。

 清河八郎は1830(天保元)年、清川の裕福な造り酒屋に生まれた。学者になろうと家出して江戸へ上り、修業して剣と学問を教える塾を開いた。尊王攘夷(じょうい)の同志と「虎尾の会」を結成。町人を装った幕府の捕吏を斬って逃亡生活に入る。潜伏しながら各地を遊説し倒幕挙兵を画策したが、薩摩の尊攘過激派が薩摩藩士に討たれた寺田屋事件で多くの同志を失い、挫折した。

 その後、虎尾の会の仲間で幕臣の山岡鉄舟らを通して政治犯の大赦などを幕府に働き掛け、自身も罪を許された。京都に上る将軍徳川家茂の警護を名目に浪士組を募集。63(文久3)年、横浜の外国人居留地焼き打ち計画の実行直前に暗殺されるが、浪士組は新選組と新徴組になり5年後に明治維新を迎える。

 庄内町の清河八郎記念館は書簡や遺品など数百点を保管し、一部を展示している。八郎が孝明天皇に宛てた尊王攘夷の建白書「回天封事」、逃亡中の活動をつづった「潜中紀事」「潜中始末」、桜田門外の変について詳しく記した「霞ケ関一条」など貴重な資料が多い。

 八郎は55(安政2)年、母を清川から伊勢参りに連れて行き、半年近い大旅行をした。その道中日記「西遊草」は母が老後に読んで楽しめるようにと各地の風物、風俗などを小まめに書き残した。

 先日記念館を訪ねると山岡鉄舟のファンが県外から来館していた。「廻状留(かいじょうどめ)」は、山岡が浪士組に参加した浪士の名前を書き留めており、後に新選組局長となる近藤勇らも名を連ねる。「幕末の三舟」と呼ばれる山岡は八郎にとって大きな存在で、幕府が八郎を赦免した際も実力者松平春嶽に近い山岡らが動いたとみられている。

 一方、庄内町は2012年から「清河八郎関係書簡」を刊行。ことし発刊された第6集は活動末期の書簡を収録し、逃亡中に家族の身を案じるなど人情味あふれる側面もうかがえる内容だ。筆まめな八郎が書いたものは多く、それらを通して実像に触れることができる。

 大河ドラマ実現を目指す協議会は庄内町と町商工会、清河八郎顕彰会など6団体に加え、町内外から公募した会員12人で組織し、映像制作、商品開発、情報発信、学習の4班に分かれて活動する。

 1期3年間の段階的な運動を想定しており、1期目は八郎を広く知ってもらうことに力を入れる。本年度は八郎を紹介する動画制作や協議会のホームページ作成を進めるほか、11月に町内で開かれる「明治維新150年記念フォーラム」に向けた商品開発に取り組む。

 清河八郎は後ろ盾のない「草莽(そうもう)の志士」でありながら日本を変えようと激動の時代を駆け抜けた。東北出身で幕末の志士と呼ばれる人物は非常に少ない。維新150年のことしは歴史に対する関心が高まっており、八郎の存在を売り込む好機だ。人物像や全国に広がる人脈を発信する起点にしたい。

(2018/06/18付)
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