社説

基調判断「悪化」に 正念場迎えた日本経済

 内閣府が3月の景気に関する基調判断を「悪化」に引き下げた。これまでは、数カ月前に景気がピークを迎えていた可能性を示す「下方への局面変化」としてきたが、今回は、それより1段階厳しい表現で、景気が既に後退している事態を示したといえる。「悪化」の判断は6年ぶりだ。

 20日に発表される1~3月期の実質国内総生産(GDP)も、2四半期ぶりのマイナス成長が見込まれており、戦後最長の景気拡大が続いているとする政府は認識を改めるべきだろう。

 世界1、2位の経済大国である米国と中国が対立している貿易摩擦は激化する一方で、決着が見通せない。この影響などから中国経済は減速し、日本企業の業績を圧迫し始めた。

 米国が10日、中国からの輸入品に発動した関税の25%への引き上げは、対象が家具や家電など約5700品目、2千億ドル(約22兆円)分に及ぶ。13日にはさらなる制裁措置として3805品目、3千億ドル(約33兆円)分に最大25%の追加関税を課すと発表した。スマートフォンや靴など消費財が幅広く含まれる。最終的に米国の消費者が負担するとなれば、米国経済にも悪影響を与えるだろう。

 外需の落ち込みのみならず、企業が世界で展開するサプライチェーン(部品の調達・供給網)も大がかりな再構築を迫られる可能性がある。海外市場に多くを依存するアキレス腱(けん)が危機にさらされている。日本経済は正念場を迎えたといっていいだろう。政府、日銀には内外の諸情勢に目を凝らした細心の政策運営を行う必要がある。

 海外要因については、日本が直接影響を及ぼすことはできない。ただし、手をこまねいてばかりでも政策当局としての責任は果たせまい。遠回りかもしれないが、国際協調や自由貿易の重要性、世界貿易機関(WTO)改革の必要性などを粘り強く国際社会に訴えて事態の改善を目指さなければならない。

 加えて日本は6月の20カ国・地域(G20)首脳会合の議長国だ。世界中で深刻な状況を引き起こしつつある貿易摩擦に主要国としてどう対応するのか、責任を持って方向性を打ち出す立場にある。米国や中国に対して、言うべきことは言うリーダーシップを安倍晋三首相には求めたい。

 景気の腰折れを防ぐために、教科書的には財政、金融面のてこ入れが検討課題になる。しかし、双方ともに追加政策の余力は極めて乏しいのが実情だ。国と地方の債務残高はGDP比約2.4倍と先進国で最悪の状況となっており、日銀の大規模緩和はマイナス金利にまで踏み込んでいる。

 外需が不調なら、内需を喚起することが重要になる。ここで気掛かりなのが、地方の消費マインドの低下傾向だ。フィデア総合研究所(山形市)による県内家計消費動向の3月調査結果では、消費指数はマイナス59.8で12月の前回調査に比べ6.6ポイント下落し、2期ぶりに悪化した。今後についてはマイナス72.4と大幅悪化の見通しだ。外需、内需ともに冷え込むといったことにならないよう知恵を絞りたい。

(2019/05/18付)
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