NIBフロントライン

ネッツトヨタ山形社長
高橋修氏
高橋修氏
【インタビュー】
 -業界の現状を踏まえ、どのような人材を求めているか。

 「自動車業界は電気自動車(EV)、自動運転といった技術革新が進み、異業種企業参入の動きが目立ってきた。業界は100年に1度の変革期にあり、われわれメーカーディーラーも大きく変わらなければならない。そのためには新たなことにチャレンジする力、失敗を恐れない気概を持った人材を求めている。チャレンジしなければ前進できない。挑戦した上での失敗は受け入れる企業風土も醸成していく」

 -人材育成のための取り組みは。

 「経営理念や『チームネッツ』としての行動基準を記した『クレド』(信条)というカードを全社員が携帯している。クレドには四半期ごとに自らの公私の目標を記入する欄があり、朝礼でその達成状況を発表してもらっている。未来を見据え、目標達成に向けてチャレンジする心と実行力、継続力を持ってほしいからだ。自らの目標に挑戦できない人は組織の中で新たなことはできない。また、社員は320人いるが、『1人の320歩』より『320人の1歩』の方が価値があると思う。私がこの組織を『チームネッツ』と呼ぶのは、互いが刺激し合い、力を補い合う関係性の中で社員が成長していくと信じているからだ」

 -自身が仕事上で最も影響を受けた人物は。

 「多くの方にお世話になってきたが、あえて1人を挙げるならば、おじである遠藤商事の遠藤栄次郎会長。物事への関心が高く、新しいことにチャレンジしたり、常に人との出会いを求めたりするバイタリティーは本当にすごいと思う。誰しも疲れて人と会いたくなくなる時があると思うが、あの人にはそれがないのではないか。だからこそ人脈が生まれ、情報が集まり、即断即決の経営につながる。経営者として大切なことを学んだ」

 ★高橋修氏(たかはし・おさむ) 慶応大商学部卒。トヨタ自動車を経て1983(昭和58)年トヨタオート山形(現ネッツトヨタ山形)入社。取締役、副社長を歴任し、2009年から社長。山形市出身。59歳。

 ★ネッツトヨタ山形 1967(昭和42)年12月に設立。県内13店舗で新車、中古車の販売、カーリース、メンテナンスなどを手掛ける。資本金は7000万円。従業員数は320人。本社は山形市東青田5の1の1。

【私と新聞】赤ペンとマーカーを手に
 高橋修社長は新聞記事を社員とのコミュニケーションや情報共有に活用している。「これは」と思った記事にコメントを添えた文書を社内で回覧し、各店舗にはファクスやメールで送る。店長がその記事を基に意見を社員に発表することもあり「同じニュースでもさまざまな捉え方があると考えさせられる」。

 「新聞の価値はタイムリーな情報にある。出来事の裏側にある情報こそわれわれが求めているもの」と高橋社長。電子新聞よりも紙の新聞を読む機会が圧倒的に多く「赤ペンとラインマーカーを持って新聞に向かうのが性に合っている」と話す。

【週刊経済ワード】有効求人倍率
 仕事を探している人1人に対し、企業の求人が何件あるかを示す数字。倍率で表し、例えば10人の求職者に対し、企業の求人が9件あると「0.9倍」になる。1倍を超えると求職者より求人の方が多いことになり、倍率が高いほど就職しやすい環境といえる。その月の新しい求人、求職だけでなく、前月以前に受け付けて募集などが続いている求人、求職者も含めて計算する。山形労働局によると、8月の県内有効求人倍率(季節調整値)は1.55倍で、5カ月連続で1.5倍を超えた。
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