NIBフロントライン

東ソー・クォーツ社長
畠山尚志氏
畠山尚志氏
【インタビュー】
 -自社、業界の現状は。

 「当社の主力事業は、半導体やフラットパネルディスプレーの生産に使われる石英ガラス製品の開発、製造、販売。一般の方の目に触れることはないが、製造工程に欠かせない部品を作っている。半導体は近年、利用の幅が広がって世界的に需要が伸びており、製造が非常に好調だ。それに連動し、当社も増収増益が続いている。さらに期待される需要増に対応するため、グループ全体で昨年から100億円超の設備投資を進め、山形、米沢、台湾の3製造所で増築工事をしている。製造拠点は酒田を含む県内3カ所の他、台湾、米国、英国にあり、販売拠点は全世界をカバーしている」

 -求める人材とは。

 「当社は人材に国籍、性別、年齢を問わない。社内の幅広い部署で外国人が活躍し、女性は営業、製造など各工程の主要メンバーとして輝きを放っている。半導体産業はかつて業績に波があり、社内の年齢構成がいびつになっているため、新卒だけではなく中途採用にも積極的だ。年配者に関しては、当社は60歳定年制で、65歳まで再雇用で働いていただいているが、定年延長も検討したい。嘱託社員の中には70代でも元気に海外出張をこなす人もいる。事業が年々拡大して労働力が不足し、自動化も進めているが、どうしても人手が必要な部門があり、積極的に採用している」

 -若者に求めたい能力、努力とは何か。

 「新卒者を即戦力として扱うことはなく、体力、気力、知力とやる気があるのが一番。まずはきちんと学生生活を送ってほしい。学生時代に基礎学力を身に付けてさえもらえれば、入社後にプログラムに沿って研修の機会を提供する」

 -自身が仕事上で影響を受けた人物は。

 「新入社員の頃、諸先輩がばりばり活躍している姿を見て、この人のように活躍したいと思ったものだ。配属先の各職場にそういう先輩がいた。身近な諸先輩方が目標だった。宗教家・住岡夜晃による『賛嘆(さんだん)の詩』に『念願は人格を決定す 継続は力なり』の言葉がある。目標を定め、そこ向かって取り組みを継続することが大切という意味だ。仕事上でも、ただ午前9時に出社し、午後5時に退社する“時間の切り売り”だけでは進歩がなく、もったいない。自分の中のやる気を引き出し、目標を設定した上で継続して取り組むことが大事だ」

 ★畠山尚志氏(はたけやま・なおし) 慶応大経済学部卒。1978(昭和53)年に東洋曹達工業(現東ソー)入社。機能材料事業部電池材料部長、理事兼高機能材料事業部副事業部長を経て、2014年から現職。東京都出身。64歳。

 ★東ソー・クォーツ 1936(昭和11)年10月15日に日本石英硝子として設立。日本初の石英ガラスメーカーとして知られる。2000年に東ソーの100%子会社となり、01年に現社名に。山形、米沢、酒田の3市に製造所、東京、韓国に支店、山口県と台湾に子会社、米国、英国に関連会社がある。資本金4億9014万円。従業員数は630人。本社所在地は山形市立谷川3の1435。

【私と新聞】新聞社のデジタル情報を信頼
 多忙な畠山尚志社長は日頃、移動中でも手軽に利用できるデジタル配信の紙面を読む。「モバイル端末でどこでも読めるのが利点」とし、山形新聞の読者限定電子新聞「やましんe聞」も愛読している。

 ただ、デジタル世界では雑多な情報が氾濫し、フェイク・ニュースなど質の悪い情報も混在しており、信頼性に劣るケースがあると感じている。「その点で新聞社のデジタル情報は安心して読むことができる」と語る。

 まとめて時間の取れる週末には、必ず各新聞紙面に目を通す。「1週間を顧みられる点も新聞の良いところ」と指摘。地域に密着した記事が面白く、なかなか行けない場所やイベントの記事を読み、疑似体験する楽しみもあるという。

【週刊経済ワード】株式の売買単位
 上場企業の株式を証券取引所で売買する際の最低限の株数。誤発注防止などの観点から、全国の証券取引所が2007年11月、当時8種類あった単位を集約する計画を発表した。ほぼ2種類までまとまった14年4月では、100株単位の企業が全体の3分の2、千株単位が3分の1だった。全国の取引所は15年12月、100株への移行期限を18年10月1日と定めた。
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