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抑草ロボ活用し無農薬酒米栽培 小嶋総本店(米沢)が実証実験

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雑草の成長を抑制するロボット(右)を活用し、無農薬による酒米栽培の実証実験に挑む=米沢市 雑草の成長を抑制するロボット(右)を活用し、無農薬による酒米栽培の実証実験に挑む=米沢市
 老舗酒蔵の小嶋総本店(米沢市、小嶋健市郎社長)は、田んぼの雑草の成長を抑制するロボットを活用し、農薬を使わない酒米栽培の実証実験に取り組んでいる。農産物を原料とする酒造業界も気候変動の影響を受けており、持続可能な酒造りを模索する。

 ロボットは鶴岡市のまちづくり会社ヤマガタデザイン(YD)のグループ会社「有機米デザイン」(東京)が開発。太陽光発電による電力で自走し、スクリューで田んぼの泥を巻き上げて水を濁らせ、太陽光が遮られることで雑草が育ちにくくなる。小嶋総本店は、5月下旬から3週間、県産酒造好適米「出羽燦々(さんさん)」を栽培する同社の契約田=米沢市太田町=30アールに入れた。契約農家の寒河江一紀さん(62)は「雑草の生え方が止まっている。効果がある」と話す。小嶋社長は、生物多様性を維持できる有機栽培に取り組みたいと考えてきたが、除草に要する労力が大きなハードルとなっていたという。本格導入は採算面を踏まえた上で検討するが、「ハードルを下げられるのであれば挑戦したい」と見据える。

 酒米に高温障害が発生する年が増えるなど、酒造業界も気候変動の影響を受ける。また、海外市場では特に、持続可能な製品作りが重視される。同社は過去10年で輸出量が30倍に伸び、売り上げのうち海外が4分の1を占める。世界的にも大手ワインメーカーなどが栽培方法から製法を見直す動きがあり、「責任を果たしていることで選ばれるマーケット」(小嶋社長)という。

 同社は無農薬の酒米栽培の実証実験のほか、今年3月から小容量の商品をガラス瓶からリサイクル率の高いアルミ缶とした。将来的には生産に要する電力の全てを置賜地域で発電される再生可能エネルギーに切り替えたい考えだ。小嶋社長は「われわれ自身が気候変動の影響を感じている。生産活動自体を変えていくことは責任であり、できることから取り組みたい」と話す。
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