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「新しい記者」育成や業務効率化目指しDX協定 山形新聞社、NTT東と、業界初

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DX導入に関する連携協定を結んだ寒河江浩二山形新聞社長・主筆(左)と渡会俊輔NTT東日本山形支店長=山形市・山形グランドホテル DX導入に関する連携協定を結んだ寒河江浩二山形新聞社長・主筆(左)と渡会俊輔NTT東日本山形支店長=山形市・山形グランドホテル
 山形新聞社(寒河江浩二社長・主筆)は19日、新聞業にデジタルトランスフォーメーション(DX)を導入するため、NTT東日本山形支店(渡会俊輔支店長)と連携協定を結んだ。同支店の協力を得て全社的にDXを進め、業務効率化や新たな時代に対応する「新しい記者」の育成、新たな報道の仕組み構築を目指し、健康経営をさらに推進する。デジタル技術を用いた社会変革が進む中、社員の意識改革も促す。

 NTT東日本が新聞社とDXに関する協定を結ぶのは初めて。連携事項は計9項目で、他にソーシャルメディアを使ったマーケティング、交流サイト(SNS)や動画による広告事業、効果的な情報発信などを提示。新聞社の多様な業務の変革を先進事例とし、地域のDX、地方創生に貢献する狙いもある。

 山形新聞社は近く同支店と協働で推進組織を設置。あらゆる業務を見直して課題を洗い出し、デジタル技術で代替できる業務は転換を進め効率化する。そこで生み出された人員を人の手が欠かせない部署、業務に集め、現場力を高める。

 「新しい記者」は、一つの記事を複数の媒体で発信する「ワンソース・マルチユース」に対応する記者と位置付けた。具体的には1人の記者が記事執筆や写真撮影に加え、動画の撮影から編集、配信まで担い、一つの取材で得た情報を新聞やSNSなど幅広いメディアで多角的に発信する態勢をつくる。増えた業務はデジタル技術で省力化。社員が楽しく仕事に向き合えるようリスキリング(意識改革)に取り組む。

 DXによる働き方改革を進めることで、社員が生きがいを持って楽しく健康的に働ける職場環境づくりにつなげる。まずは新型コロナウイルス禍を受け一部部署で取り組んだテレワークに関し、他部署への導入可能性を探る。

 山形市の山形グランドホテルで締結式が行われ、寒河江社長と渡会支店長が協定書に調印した。寒河江社長は「DXを進め将来を見据えた新たな新聞社像を構築し、健康経営も一層進める」とあいさつ。記者との質疑応答では「新聞業界は140年以上の歴史があって錬磨され、変化が難しかった。ただコロナ禍になって現状で良いのか自問し、記者に求められるのは『ワンソース・マルチユース』だと考えた」と話した。渡会支店長は「情報を県内外に発信すれば関係人口拡大や活性化に貢献できる。両社の強みを持ち寄り地域に新たな価値をもたらす」と述べた。

 山形新聞社は経営の柱の一つに「地域社会のDX推進」を掲げ、「5G・IoT・AIコンソーシアム」設立を提唱。健康経営優良法人には4年連続で選ばれている。同支店とはeスポーツ大会開催などで既に連携しており、今回の協業につながった。NTT東日本は新聞業のDXに関するノウハウを他県のメディアとの連携に生かせるか検討する。
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