利用者目線(2)やまびこ乗車ルポ 仙台駅、行列なきホーム~山形にフル規格新幹線を|山形新聞

山形にフル規格新幹線を

利用者目線(2)やまびこ乗車ルポ 仙台駅、行列なきホーム

2017/1/16 12:11
やまびこ自由席乗車口に並ぶ乗客ら。車内清掃を待っているためで、約10分後には乗り込むことができた=1月3日午前9時22分、仙台市・JR仙台駅

 年末年始を本県で過ごした人たちのUターンラッシュがピークとなった3日。翌日から仕事を控えている人が多く、移動時は座席を確保して少しでも体を休めたいと思うのが当然だ。山形から東京までの新幹線乗車ルポ。山形駅から「つばさ」を利用した記者は2本見送ってようやく座れたが、仙台駅経由で東北新幹線「やまびこ」を利用するルートはどうだろうか。山形新幹線の場合と同じような条件で、同日朝に山形市を出発して上京してみた。

 午前9時の仙台駅。Uターンラッシュのピーク日ながら構内はさほど混雑していなかったが、指定席は既に全列車で埋まっていた。至る所に「終日満席」の張り紙が。「もう大半がホームに?」。ごった返していることを想像しながら新幹線ホームに上がった。

 予想に反し、ホームに人影はまばら。乗車待ちの行列も皆無だ。むしろ、Uターン客を取材する在仙テレビ局のクルーの方が多い。時間帯のせいもあるだろうが、思わぬ光景に拍子抜けしてしまった。

 仙台駅広報担当者は「東北新幹線は全席指定席列車が多く、自由席のある『やまびこ』も仙台始発が多いので、新幹線ホームがごった返すことは少ない」と説明する。確かに東京行きは全席指定席の「はやぶさ」「はやて」「こまち」も含め、10分に1本のペースで出発。やまびこに限っても20分に1本ペースだ。次から次に新幹線が出る。

 山形駅から「つばさ」に乗車する記者と条件をそろえるため、午前10時以降に東京行きに乗る計画。午前10時20分すぎに自由席券を購入してホームに向かう。

 やまびこは基本的に10両編成中、1~4号車が自由席。2列、3列のシートが並び、1編成300人以上が自由席に座れる。午前10時24分仙台発やまびこ134号が既に出発を待っており、自由席は空席が目立つ。中でも最もすいていた2号車に乗車した。

 隣には神奈川県内の自宅に戻る家族連れが座った。「夫の正月休みの日程が直前まで決まらず、指定席が取れなかった」と40代の女性。小学生の子ども2人を連れ、「座れないときつい。混んでいたら次の列車に乗ろうと思っていた」という。この選択肢の多さも山形新幹線に勝る利点だ。

 福島駅、郡山駅で2号車には約30人ずつ乗車。宇都宮では約10人が乗り込み、2人が座席を確保できなかった。次の大宮駅まで20分余りしかかからないため、2人は立ったまま東京を目指すことを決めたらしい。

 元々あった在来線の線路を使う山形新幹線と違い、東北新幹線は高架上の専用軌道を走る。接続部分を少なくし、振動を抑えるためレールは通常より長く、カーブも最小限。揺れはほぼ感じず、先ほどの2人も立ったまま読書を始めた。それだけ快適な乗車環境だ。

 大宮駅では降車が多く、立っていた2人も座席を確保。上野駅を経て、仙台出発から2時間後の午後0時24分、東京駅に到着した。

 バスを含めても乗車時間3時間。乗り換える必要はあるが、山形新幹線担当記者が山形駅で寒い中、1時間も並んだのに比べ、仙台駅経由は待ち時間ゼロ。午後には乗車率100%を超える列車もあったが、10~20分後に出発する次の新幹線を待つ選択もできる。

 全席指定席の列車が満席でも、立席特急券を買えば立ったまま乗れる。仙台―東京間は最速で約1時間40分。つばさで2時間半以上も立つのに比べ、格段に短時間だ。多くの人を運び、なおかつ速い。フル規格新幹線の優位性を実感することができた。

(「山形にフル規格新幹線を」取材班)

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