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パパの育休どんな感じ? 「産後パパ育休」も開始

2022年10月4日掲載
退院したばかりの第4子に授乳する五十嵐健裕さん
退院したばかりの第4子に授乳する五十嵐健裕さん

 出生時育児休業「産後パパ育休」が今月から始まり、男性の育児休業取得がさらに推進されることが期待されている。男性が出産直後から育児の大変さや喜びを実感できるよう、本人も雇用する側も意識改革が必要だ。パパ業を楽しもうと提言し活動する「やまがたイグメン共和国」は、結成から間もなく10年。大統領の五十嵐健裕さん(45)=山形市、県職員=に育休中の経験を聞き、パパの家事育児推進にアドバイスしてもらった。

第4子誕生で初めて取得―「やまがたイグメン共和国」大統領・五十嵐さん(山形)の場合

 五十嵐さんは会社員の妻(42)と4児を育てる。第4子が昨年10月に生まれ、初めて育休を取得した。福利厚生などの制度も活用し、出産直後から1カ月半仕事から離れた。妻からは「取ってもらって良かった」と感謝され、信頼が厚くなったと感じている。

 休みに入る前から「床上げ(産後3週間とされる)までは家事も育児も全部やる」と意気込んだ。それまでは朝早い時間に家事をやったり、週末に料理したりしたこともあり、1日2時間程度は家事育児に充てていたという。それでも午前7時半に子どもたちと家を出て、午後8~9時に帰宅することが多かった。

 育休中は家事や育児の時間が1日12時間に増えた。新生児の沐浴(もくよく)や授乳、夜中の抱っこも熱心に行った。

子どもの好みも考えながら作った弁当。ゴボウとニンジンの肉巻きは母の味だ
子どもの好みも考えながら作った弁当。ゴボウとニンジンの肉巻きは母の味だ

 最も苦労したのは、子どもの弁当をはじめとする毎日3食の食事。メニューを考え、予算内で買い物するのも大変で「夢でうなされた」と笑った。手荒れにも悩まされ、「名もなき家事」も実感した。子どもが上履きを洗い、トイレットペーパーを補充してくれ、本当に助かったという。

 大変なことも多かったが、子どもと一緒にデザートを作った日もあり、会話する時間が増えた。話題は学校、部活、好きなアイドル…。「育休は家族のためであり、自分のためだった」と振り返った。

 多くの男性が不安に思うのは仕事の調整や自身のキャリア。五十嵐さんは休みに入る半年前から仕事を前倒しにして少しずつ進めた。復帰後で可能な業務は、事情を話して待ってもらうことにした。上司ら周囲に理解があったことも、不安を払拭してくれた。

 第1子の時は子どもが寝てから帰宅するほど妻に任せきりだったし、第1、2子を沐浴した記憶はないという。「赤ちゃんの成長を実感できるチャンス。ぜひ取得してほしい」と話した。

 産後パパ育休 原則として子が1歳まで取得できる育児休業とは別に、出生後8週間以内で最大4週間取得できる。2回に分けて取得することも可能。

県内の現状は?―雇用側の意識改革必要

 本県は3世代同居が日本一多い。国勢調査によると、同居率は13.9%(2020年)で全国平均4.2%を大きく上回るが、この20年で半減した。さらに、子守りを手伝ってくれる“おばあちゃん世代”となる60歳以上女性の就業率は72.8%(15年)と、1985年と比べて約3割増えた。一方、未就学児を育てる女性の就業率(2017年)は79%で、共働き率(15年)は全国トップの71.2%。核家族が増え、働く夫婦は祖父母になかなか頼れない状況が見える。五十嵐さんは「山形の女性は、仕事も家庭も既に頑張っている。あとは男性が頑張るしかない」とエールを送る。

 雇用側としては、まずトップが「新入社員の男性の8割は育休を取りたいと考えている」(17年度に日本生産性本部が調査)と理解する必要がある。優秀な人材を確保し、長く働いてもらうため、経営戦略として必要なポイントだ。

 男性育休の取得率は本県の場合、企業では8.1%(20年)。県知事部局の男性職員は21年度に6割を超えたが、半数が2週間未満だった。収入面の不安は大きいようだ。育休中は給付金として月額給与の3分の2か2分の1が支給され、社会保険料の免除もある。県の試算によると、年収400万円の男性が1カ月間の育休を取得した場合、3~4%減にとどまるという。五十嵐さんは「今後はさらに育休を取得しやすい環境整備が求められる。雇用する側は働きやすい職場をつくる意識改革が必要だ」と指摘した。

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