むがしのごどだけど。
男が「畑さ南瓜ば植えで、かまわず南瓜の蔓、太っとぐして、1本の蔓さ1づずづ大っきな南瓜ば実らせだら、どれほど大っきな南瓜になんべ」て思いながら、大っきな栃の木の下の涼しいどごろで、昼寝しったど。
ぐっすり寝で、目覚ましたどぎ考えだど。「こんなにでっかい木さ、なんで栃の実は小っちゃいんだべ。こいづさ南瓜みでえな大っきな実をつけさせだら、なんぼが村人は助かって、喜ぶべになぁ」て思って、栃の木を見上げだどぎ、小っちゃな栃の実が1づ鼻の先さぽとんと落ぢできて、痛い思いしたんだど。
「栃の実ざぁ、こんなに小っちゃくても、鼻の先ば傷つけるぐらい力があるもんだな。こいづが南瓜みでえに大っきい実だったら、おれぁ死んでしまっていだがもしんねぇ」て、つぐづぐ思ったもんだど。
「神さまざぁ、よっく考えで、そういうようにつくってくれだんだべ。やっぱり神さまは、間違ったごどなどしねもんだ」
それがらその男は、神社の前ば通ったどぎには、ちゃんと(※)ねっづぐ頭をさげるようになったってよ。
とうびんと。