むがすあったけど。むがす、あっどごさ晩方なっど「(※)んばっだえ、んばっだえ」て、大声で叫んでえる化げものえだけど。村の人達ぁおっかねくて、おっかねくて、誰も外さ出らんねぐなたけどぁ。
ほうすっど、ほの村さ力持ぢの若者えだけど。「ほんがえんばっだえごんだら、俺んぶてけっさげ出でこえ」て、どんどん山さ入て行って、化げものんどごんぶて来たけど。
「化げもの、化げもの、どさ寝っだぇ」て、聞ぐずど、化げもの「臼ん中」て言うけど。ほんで若え者、化げものさ臼かぶしぇで、「明日、化げもの見しぇっさげ、皆んな見い来え」て言ったけど。
次の朝間、村中の人集まて来たけど。ほんで、臼さ綱かげで、皆んなで「よえしょ、よえしょ」て引ぱたけど。ほうすっど、臼、ぐらり引くら返たけど。ほんでも、中さ化げものえねくて、(※)大判・小判山みだえ入ったけど。若え男、ほれば村中の人さ一枚一枚くっでやたけどぁ。
ほれぁなぁ、土ん中さ埋まった大判・小判、早ぐ外さ出だえと思て、毎晩「んばっだえ、んばっだえ」て、叫んでえだんだけど。
とんびすかんこなえけど。