昔「唐の大王鳥」ていう大き鳥いで、羽の長さ(※)七里、体は十里もあって「おれほど大き鳥、世界中さいるが、海の果でまで行って(※)見でこねまね」て、パッパッと飛んでいったけど。
なんぼ飛んでいっても海の果で見えねけど。大王鳥くたびれできたば、海の中さ大き木立ったけど。その木さ止まって休んでいだば、下の方がら「だれだ、おれのひげ(※)ちょす者は」て声しっけど。
びっくりして「お前はだれだ」て言うど「おれは鎌倉のえびだ。体は百里もあっぞ。おれのひげちょす小ちぇ者、早ぐ帰れ帰れ」て言われで大王鳥(※)シオラシオラど帰ったけど。
その鎌倉のえび「よし、おれより大き者いるが、おれも海の果でまで行って見でこねまね」てガサモソはっていったけど。そのうぢえびも疲れできてひと休みそうどしたば、大き洞穴目の前さあったけど。その洞穴さ入って休んでいだば、まだ「お前はだれだ」て声すっけど。
「おれは鎌倉のえびで体百里もあっぞ」て言ったば「おれは『赤えい』で体は千里もあっぞ。おれの鼻の穴さ入るよだ者、世界の果で見らえるもんでねえ。帰れ帰れ。ハックション」て(※)くさみしたば、えびヒョーンと飛ばさえで、(※)加茂の山さダヂッてぶつかったけど。
その時、えびの腰ギグッて曲がってしまって、それがらえびの腰、親子代々曲がるようなったけど。トンピンカラリネッケド。