昔、あったけど。あっどさ「(※)稼ぇがねでも毎日んまえもの食しぇっどごなえべがなぁ」とゆう(※)せやみ男えだけど。
あっどぎ、この男旅さ出で、暗ぐなたさげ、1軒の宿屋さ泊またけど。宿では「俺えでぁ稼ぇがんたて良えさげ、長ぐ居でけろ」て言って、餅どがお菓子どが、んまえものいっぱい食しぇだけど。ほんで、男ぁ大喜びで、毎日食ってばり居だれば、体丸々ど太て、重だくなたけど。
ほうすっど、ある晩、宿の親父と(※)かがぁ、何が話しったけど。親父「あの男、そろそろ油すぼりさかげでも良えんなえべがなぁ」て言うずど、かがぁ「んだなぁ、丁度良えなぁ。んだら明日にもかげでみんべ」て言ったけど。ほごの家でぁ、若え男どごだまして、食物いっぱえ食しぇで、ほのあどぁ殺して、ほの体がら油すぼてえだんだけど。
ほんで、男ぁたまげで、たまげで「ああ、俺殺される。早く逃げで行がんなね」て、大急ぎでどんどと逃げで、家さ来たけどぁ。
んださげ「稼ぇがねで、んまえもの食だえ」なて、言わんなえもんだど。とんびすかんこなえけど。