分野多彩、尽きぬ意欲 人気絵本「魔女図鑑―」翻訳、岡部史さん(小国出身)

2022/5/19 09:21
岡部史さんが手掛けた翻訳本「魔女図鑑 魔女になるための11のレッスン」をはじめ短歌や郷土菓子などの主な著書

 30年前に出版され、何度も増刷を重ねた人気絵本「魔女図鑑 魔女になるための11のレッスン」(金の星社)を訳したのが、小国町出身の岡部史さん(70)=東京都在住=だ。米国や中国などでの海外経験も踏まえ、翻訳のほか、短歌や食文化研究などさまざまな分野で活躍する。「翻訳はその国の歴史や習慣も知らなければできない。疑問に思ったことを調べ、分かった瞬間が楽しい。今後は世界の砂糖を巡る話を書きたい」と意欲は尽きない。

 岡部さんは1951(昭和26)年、小国町生まれ。米沢興譲館高に進学したが、父親の転勤で東京へ。日本女子大文学部史学科を卒業し、横浜市役所に10年間勤務した。夫の仕事で渡米した際、小さい頃から夢だった文章を書く仕事をしたいと、ノースカロライナ大で英語と文学を学んだ。

 帰国後は児童文学を中心に好きな本を翻訳。89年に初の訳書「はだしのバレリーナ」(ポプラ社)を刊行した。「魔女図鑑―」は英国のマルカム・バードさんが作・絵を手掛け、ちょっと意地悪でおしゃれな魔女の暮らしや趣味、ファッションを面白おかしくつづっている。92年に出版し、累計20万部を発行した。岡部さんが訳した作品は女の子の主人公が多く「米国で暮らし、日本の女性は活躍する場が限られていると感じた。女の子があこがれるような話を紹介し、物語を通して女性を応援したかった」と振り返る。

岡部史さん

 短歌は27歳で始め、32歳で「塔短歌会」に入会。99年、2000年と続けて角川短歌賞の最終候補となった。食の視点から各地の歴史や文化をまとめたエッセーも執筆。短歌とともに地域に根付く菓子を紹介した著書「郷土菓子のうた 甘味の地域文化誌」(ブイツーソリューション)では、大江町左沢の名物「穴子せんべい」や山形県民になじみのある「ミルクケーキ」などを紹介している。

 このほど、14年までに作った400首超を収録した第4歌集「海の琥珀(こはく)」(短歌研究社)を出版した。「漕ぐほどに寂しいブランコ 夕焼けの向かうの国より蹴り返されて」「数トンの雪の真下に暮しゐきをりをりきしむ梁を聴きつつ」など、古里での記憶を詠んだ歌もある。「日常をなぞって共感を得るのも楽しいが、そこから一歩出て自分の言葉で誰も詠まないような新しい世界を発見したい」と語った。「海の琥珀」は1650円。

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