緊急連載・豪雨の傷痕(下) 線状降水帯発生、本県初の特別警報

2022/8/11 10:31

[PR]
 線状降水帯が置賜地方に発生し、飯豊町高峰で、観測史上最大となる306.5ミリの24時間雨量を記録した今月3~4日の豪雨被害。町民は「雨水が塊となって屋根から落ちてきた」と当時の状況を表現した。「経験のない豪雨が今後も東北地方で起こり得る」。識者は警鐘を鳴らす。

 本県で初めて大雨特別警報が出るほどの雨はなぜ、降ったのか。現時点で複数の要因が挙げられている。山形地方気象台によると、台風6号に由来する低気圧と、太平洋高気圧の縁を回り込んで流れてきた暖かく湿った空気が大雨を降らせた大量の水蒸気の供給源となった。これにより、前線活動が非常に活発化したという。

 さらに日本の北にあったオホーツク海高気圧と南の太平洋高気圧の勢力が拮抗(きっこう)し、間に挟まれた前線が本県上空付近で停滞したことで、猛烈な雨が降り続けた。この影響で「記録的短時間大雨情報」は3日昼すぎから4日未明にかけて本県に計6回も出された。

■予測の精度に課題

 各地で甚大な被害をもたらしてきた線状降水帯について気象庁は今年6月、危険性を少しでも早く伝えるための半日前予報をスタートさせた。ただ予測の精度には課題があり、的中率は「4回に1回程度」とされている。今回、予報の発表はなかった。

 予測について山形大の花輪公雄理事・副学長(海洋物理学)は「気象庁はものすごく頑張っているが、まだまだ困難」と話す。要因の一つとして、台風や熱帯低気圧に比べると線状降水帯は「小さい現象」で、これを捉えるだけの観測網がないという。

 昨今、頻発する大雨について花輪氏は地球温暖化による気候変動の影響に言及。気温と海水温の上昇により、西日本だけでなく東北でも大雨を降らせるもととなる水蒸気の供給が進みやすくなるという。

 「かつて九州の人に『東北の雨は穏やかで、しとしとですね。九州は違いますよ、大粒の雨がバーッと降ってくる』と言われたが、今は東北もそうなりつつある」と指摘する。

■経験で決め付けず

 本県も豪雨と無縁でいられなくなった。安全を守るすべは何か。花輪氏は「これまでの経験だけで決め付けず、日ごろから自然現象に対する想像力を鍛えておくことが必要」とし、自治体が作成しているハザードマップを確認しておくことを第一に挙げる。

 山形地方気象台は「線状降水帯というキーフレーズがなくても大雨災害の恐れはある」と注意を促す。記憶に新しい2020年の7月豪雨では本県に線状降水帯は発生していない。「大雨の予測がある場合は気象予報をいつも以上に確認してほしい」とし、気象庁の情報サイト「キキクル(危険度分布)」などを活用した迅速な避難を呼びかけている。

◇線状降水帯 次々と発生した積乱雲が風に流されて線状に連なり、同じ地域に大量の雨を降らせる降水域。数時間にわたって停滞するため、土砂災害や洪水などの災害リスクが急激に高まる。長さは50~300キロ程度、幅20~50キロ程度。形成には海上から流れ込む水蒸気の量などが関係しているとされる。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]