山形市の蔵王山で樹氷を形成するアオモリトドマツの枯死問題で、山形、宮城両県の関係者による合同検討会が2日、仙台市内で開かれ、昨年現地で見つかったガの幼虫による食害に関し、今年の調査で被害の拡大は確認されなかったことが報告された。ただ、多くの成虫が見つかり、来年度も発生が予測されることから、引き続き状況を注視しつつ、樹氷再生に向けた取り組みを前進させる。
食害の原因は「トウヒツヅリヒメハマキ」の幼虫。2013年に大発生してアオモリトドマツの葉を食い荒らしたことで、枯死が急拡大した。
昨年、広範囲で食害が見つかり、被害の再拡大が懸念されている。今年7~10月、山形森林管理署の職員らが蔵王ロープウェイ山頂線沿いや樹氷高原駅周辺を目視で調査。昨年に比べ、一部の地点では褐変した葉がやや増えたが、全体的に大きな変化はなかった。
一方、森林総合研究所東北支所(岩手県)が現地でトウヒツヅリヒメハマキの成虫の数を調べたところ、大発生した翌年(14年)の数値を上回ったという。幼虫の天敵となるハチの活動は活発化しておらず、今後の動向に注意する必要があるとした。
来年度に向けては引き続き、トウヒツヅリヒメハマキのモニタリング調査を行う。標高1300~1400メートル地点から採取した稚樹を1600メートル付近に移植する試験も継続する。移植試験は、複数本の稚樹が枯死したものの、おおむね順調に生育しているという。
山形森林管理署の益田健太署長は「移植試験は手応えを感じつつある。現地の状況を注視しながら、取り組みを進めたい」と話した。
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