被災集落、優先対策箇所に該当せず 鶴岡・土砂崩れ、住宅戸数、要件の対象外

2023/1/5 08:51
山形県庁(資料写真)

 鶴岡市西目で昨年12月31日未明に住宅2棟を含む約10棟が巻き込まれた土砂災害で、被災した集落が県の計画で優先的に防災対策を講じる「人家集中箇所」に含まれていなかったことが4日、分かった。優先対策は被災の恐れのある住家20戸以上あることが要件で、被災現場は該当せず対策工事は行われていなかった。

 県の「やまがた水害・土砂災害対策中期計画」(計画期間・2019~28年度)は、県が指定する土砂災害警戒区域内のうち、戸数を要件に人家集中箇所を決めている。対象カ所は、のり面の補強や擁壁の整備などを講じる。県砂防・災害対策課によると、計画策定時の対象は479カ所。23年度までに203カ所、28年度までに231カ所の完了を目標値に設定している。

 今回崩壊した斜面は09年に土砂災害の特別警戒区域に、住宅などがあったエリアは同じく警戒区域に指定された。県の07年調査では、保全が必要な住家数は5戸だった。同課は限られた予算の中での優先対策の必要性を説明する。

 一方、登記簿によると、現場の土地は1982(昭和57)年に山林から宅地に用途が変更された。地元住民の話では、60年代後半に山を掘削して造成されたという。当時の国土地理院の航空写真でも、山を切り開いた様子がうかがえる。

 宅地となってから、モーテルが立地したが、その後競売にかけられた。93年に不動産会社へと所有権が移り、建物の改修などを経て集落が形成されていったとみられる。

 一帯は以前、都市計画区域の区域外で、95年に計画区域に指定された。区域外のころは開発行為を届け出る必要がなく、県都市計画課によると、県が開発許可をした経緯と記録はないという。

 今回の災害で崩落した土砂やがれきの処分を巡っても、不動産所有者の確認作業が必要になる。斜面の掘削や造成の経緯などに関し、県と市は資料の有無も含めて調査を進めている。

流出土砂、推定2万立方メートル―現地踏査、風化進んだ地質か

 鶴岡市西目で昨年12月31日に発生した土砂災害で、学識経験者による緊急調査に先立って県と鶴岡市が現地踏査した結果、県の担当者は4日、流出した土砂は約2万立方メートルと推定されると明らかにした。礫(れき)混じりの粘性土壌で風化が進んだもろい地質とみられ、きょう5日の緊急調査で詳細を確認する。

 現地踏査は3日に実施。約2万立方メートルは25メートルプール約40杯分に相当する。県庄内総合支庁の五十公野光博河川砂防課長は、土砂の堆積地点から崩壊斜面の最上部までの高さが約20メートルとみられると説明。元々は30度程度だった傾斜角度が崩壊後、40~45度となり、斜面には幅2~3メートルの段差も形成されているという。

 崩れた斜面の地肌は赤褐色で、岩石の風化が相当程度に進行。もろい土壌が水分を含み、軟弱な地盤になっているとの見解を示した。

鶴岡・土砂崩れ

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