雪解け水で深層崩壊か 鶴岡・土砂崩れ、専門家指摘

2023/1/5 23:31
土砂崩れ現場の現地調査で、八木浩司名誉教授は深部から岩盤ごと崩れる「深層崩壊」の可能性を指摘した。山頂付近の表層部分に亀裂も見つかった=5日午後1時23分、鶴岡市西目

 鶴岡市西目で昨年12月31日未明に起きた土砂崩れで、日本地すべり学会元会長の八木浩司山形大名誉教授が5日、現地調査に入った。八木氏は先月の大雪が解け地下に浸透して水圧が上昇、風化した地盤を深くえぐる「深層崩壊」が起きた可能性を指摘した。また、山頂付近で表層部分に連続する亀裂が見つかったことなどから、2次災害の恐れがあると強調した。

 調査は県と市の合同で、八木氏に協力を依頼。担当者約15人が午後0時40分すぎから約1時間半、土砂崩れ(幅100メートル、高さ20~30メートル)の現場を踏査した。目視が中心で、尾根伝いに歩き、避難者の住宅付近の斜面の状態も確かめた。

 調査後、八木氏が報道陣の取材に応じた。赤茶けた地質に関し「地盤そのものが風化し、ハンマーでたたいても反発がなく粘土化した状態」と、もろさを指摘した。鶴岡市では先月1~30日の降水量が500.5ミリを観測し、12月として過去最多だった。こうした気象条件が重なり「(発生現場は)深層崩壊のミニチュア版のような現象で、短時間で崩れた。直接的な誘因は降雪と雪解け水の浸透に尽きる」と述べた。東北の日本海側では一般的に3、4月に地滑りが発生しやすく、「11月初めや12月ごろのドカ雪はすぐに解ける」と補足した。

報道陣の取材に応じる八木浩司名誉教授=5日午後2時17分、鶴岡市西目

 2次災害の恐れにも言及し「(発生箇所の)傾斜は40度あり、2月中旬まで雪が降る。雪解けを考え春先まで注意深く見守る必要がある。調査は少なくとも数カ月はかかる」と説明。市が現場付近の7世帯20人に出している避難指示の解除時期は「斜面の状況が良くない。安全を考慮し、しばらく我慢した方がいい」との認識を示した。

 一方、国土地理院が公開している空撮写真からは現場で50年ほど前に山肌が削られた形跡が確認できるが、「(土砂崩れの)素因の一つだが、今回と直接は関係していない。長い時間をかけて風化は進んでいた」との見解を述べた。

 県は八木氏の助言を受け、地質や地下水の状況を把握するボーリング調査や、観測計の設置を検討するとした。

鶴岡・土砂崩れ

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