鶴岡市西目で昨年12月31日未明に土砂崩れが発生した山は、雪解け水や雨水の通り道が複雑に交錯していたことが8日、分かった。水が地下に浸透しやすい状況で、土砂災害を誘発した要因になった可能性がある。現場は山全体が強く風化し、もろくなっていたことも新たに明らかになった。
山全体が強く風化
山形大災害環境科学研究センターが8日、地質から発生要因を考察するため現地調査に入り、確認した。所長で地質学が専門の本山功・同大理学部教授、八木浩司・同大名誉教授(日本地すべり学会元会長)ら計4人が参加し、土砂が崩れた箇所を中心に鎌で表層を削りながら地質を丹念に調べた。
調査の結果、現場の地質は基本的には泥岩だが、火山岩、凝灰岩、砂岩など複数の種類が混ざった複雑な地層であることが分かった。岩盤の割れ目に水がしみ込み、その隙間に風化物質が充填(じゅうてん)された薄い層が垂直方向に数多く見つかった。そこから破砕が進んだとみられる。八木氏は「地下に水が大量に浸透していたことを物語る」とした上で、「地滑りは1日当たり数センチや数十センチ程度動くが、今回は極めて短時間に崩れ落ちた。地層を深くえぐるように崩れる『深層崩壊』と地滑りの中間的な『高速地滑り』が起きたと考える」と見解を述べた。
同センターは今後、エックス線を使った成分分析で、地滑りなどを誘発しやすいとされる粘土鉱物の含有状況を調べる。
本山所長は「安山岩などが少量見られたことから、もともとは硬い岩石だったことが分かる。一部ではなく、山全体で強く風化した」と指摘し、「この場所の地質を突き止め、今後の防災対策の教訓になるようにしたい」と話した。
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