酒田市松山地域で伝承されている県無形民俗文化財・松山能の「雪の能 まつやま大寒能」が28日、同市松山城址館で上演された。役者が能と狂言の計3演目を披露し、観客を幽玄の世界にいざなった。
演能団体「松諷社」(榎本和介会長)のメンバーが狂言「針立雷(はりたてかみなり)」と能「屋島」を披露した。「針立雷」は腰を痛めた雷と、薬や針で治すやぶ医者の掛け合いをユーモラスに表現した。「屋島」は屋島の合戦での、義経主従の戦いぶりや武将の苦しみを描いた演目。義経に思いをはせながら合戦の様子を旅の僧に話す翁を、荘厳に演じた。松山小児童でつくる「松山子ども狂言の会」が、狂言「鬼の首引(くびひき)」も披露した。負けたら食われるという条件で勝負をする武士と姫鬼や子鬼の姿が、見る人を和ませていた。
松山能は江戸勤番の松山藩士が能楽を習得したことに始まり、明治以降に町人に伝わったとされる。大寒能は松山能振興会(小田和夫会長)が主催した。
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