第一通報者へ、感謝の涙 鶴岡・土砂崩れ1ヵ月、建物から救助の加藤さん、念願かなう

2023/2/1 12:20
第一通報者の山口大樹さん(左)と握手する加藤省一さん=鶴岡市役所

 鶴岡市西目で2人が犠牲となった土砂崩れから1カ月となった31日、倒壊した建物から救助された加藤省一さん(77)が市の計らいで第一通報者と面談し、感謝を伝えた。本庁舎や地域庁舎では職員が黙とうし、土砂崩れ現場では八木浩司山形大名誉教授ら地滑り研究の専門家が現地に入り、詳細な原因究明に向けて試料採取などを行った。

 車で現場付近を通りかかった際、土砂崩れに気づき110番通報したのは同市大山3丁目、団体職員山口大樹さん(42)だった。加藤さんは鶴岡市役所で山口さんと、当時、一緒の車に乗っていた同、会社員大滝修一さん(42)の2人と会い「ずっと感謝を伝えたかった」とお礼を述べ、固い握手を交わした。

 通報を機に加藤さんは倒壊した建物内から約2時間半後に救出された。「心臓に持病があり、救助がもう少し遅れたら命が危なかったかもしれなかった。ありがとう」と頭を下げた。

 知人らと飲食後に帰宅する途中だったという山口さんは「道路が土砂で覆われ、化学薬品のようなにおいもした」と当時を振り返り、「自分が偶然通りかかったことに意味があって良かった」と話した。

 通報者に会いたいとの加藤さんの希望を受け、市が面談の場を設けた。終了後、加藤さんは「やっと気持ちの区切りがついた」と声を震わせ、涙を拭っていた。    

試料を採取した地滑り研究の専門家たち=鶴岡市西目

風化原因調査へ試料採取・専門家

 専門家による現地調査は、日本地すべり学会元会長の八木山形大名誉教授のほか、同大理学部の本山功教授、日大文理学部の佐藤浩教授、京都大防災研究所斜面災害研究センターの王功輝教授ら6人が行った。

 午前11時ごろから現場に入り、約4時間にわたってそれぞれの観点から現場を視察したり、試料を採取したりした。八木名誉教授は崩れ残った斜面の中腹付近から数カ所にわたり、風化した岩石を採取した。

 土砂崩れの直接的な誘因は風化した山に雪解け水が浸透したことなどが指摘されているが、風化が進んだ原因は明らかになっていない。八木名誉教授は「今回採取した岩石は崩れる前の地層に近いため、エックス線で内部の鉱物などを調べ、風化が進んだ原因を調査していきたい」と語った。

正午に合わせて黙とうする職員=鶴岡市役所

市職員が黙とう

 黙とうは正午に合わせて本庁舎や五つの地域庁舎で一斉に行った。本庁舎では庁内放送で土砂崩れから1カ月になることを伝え、各職員が自席で1分間、目をつぶった。

 このうち防災安全課では職員12人が犠牲者に対する哀悼の意を示した。長沢浩一課長は「現在も避難している人がいる。一日も早い復旧復興に努めていきたい」と話した。

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