相続税評価額、人工衛星やドローン使い正確に オルウェーブビジネス(山形)、算定システムで特許

2023/2/4 09:47
開発したシステムで評価すると宅地、畑とも分断されていたことが分かった

 大貫会計事務所などの親会社オルウェーブビジネス(山形市、大貫良一社長)は、人工衛星や国土地理院の地図、ドローンで撮影した映像などの情報から従来より容易、正確に不動産の相続税評価額を算定できるシステムを開発し、特許を取得した。土地や建物を正確に調査するほど高低差などの減額要因が見つかる傾向があり、それには測量の手間と費用が必要だった。

 オルウェーブグループは税理士、不動産鑑定士、一級建築士がそろい、多数の相続税の相談に対応してきた。土地や建物の相続税評価額を決めるには、範囲や実際の利用状況を把握することから始める。宅地の一部を畑にしている▽土地が道路で分断されている▽土地と接する道路との高低差がある▽間口が狭い▽土地の形が正方形や長方形ではない―などが分かれば減額要因になる。しかし詳細な調査には測量が必要で、大抵は登記情報などから大まかに把握し、評価していたという。顧客の利益を考え、同社は正確な評価を、簡単かつ安価にできるシステムの開発に乗り出した。

 費用を抑えられるよう既存の技術やシステムを最大限に活用する。衛星測定機器で緯度経度、標高を把握した上で、測位衛星などで2センチ程度の誤差まで補正する。さらにドローンにより複数箇所から撮影した画像で利用状況や道路の有無、高低差を把握していく。こうして得た情報と、用途地域や路線価などのデータを重ね、評価額を自動計算できるシステムを構築した。

 約3500平方メートルの宅地をこのシステムで調査したところ、評価額が従来の手法より4割減額になった例もあるという。この際、システム使用の費用は8万円程度だった。固定資産税の評価にも使用でき、改善を重ねている。相続を考えている個人にサービス提供するほか、同業事業者へのシステム販売も視野に入れる。大貫社長は「適切な納税に役立てられればいい」と話した。

 【メモ】発明の名称は「評価単位確定装置及(およ)び相続税財産評価システム」。オルウェーブビジネスがシステム開発のエンジニアと開発した。問い合わせはオルウェーブビジネス023(642)0201。

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