置賜県勢懇話会第270回例会が17日、米沢市の山新放送置賜総支社で開かれ、明治大特任教授の金子隆一氏が「人口減少時代―その実相と地方の生き残り策」と題して講演した。人口減少、高齢化の実情を解き明かした上で、「人口減少を乗り越えるためには、元気な高齢者を生かすなど、全ての人が制約なく潜在能力を発揮できる仕組みに変えなければいけない」と、社会システムを再構築する必要性を指摘した。以下は講演要旨。
日本の人口はこれから非常に特異な減り方をする。明治以降の人口増加の逆戻りをするわけだが、高齢者の人口が多くなり、同じ数でも中身は全く違う社会がやってくる。社会システムをつくり替えなければいけない。1950(昭和25)年に4.9%だった高齢者は2015年には26.6%となった。一方で今後働き盛りになる子どもの人口は減っている。日本はこのままいけば、65年には、高齢者の割合が4割弱、国民の半分が55.7歳以上という状況になる。ちなみに1950年は国民の半分が青少年だった。
世界人口の中で見ると先進国や日本の割合は落ち込んでいるが、先進国の中でも日本の減少幅は大きく、日本だけが人口減少にどんどん突き進んでいる印象だ。また、人口減少は世界規模で考えなければいけない。例えば、中国で日本と同様の高齢化が起きれば、高齢者の人数はものすごい勢いで増える。日本に影響がないわけがなく、それにどう対応していくかも考えなければいけない。
これまでの少子化は、出生率が減るという行動要因によって生じていたが、合計特殊出生率は底打ちした。今後は子どもを産む人口自体が少ないという構造要因で起きる少子化であり、日本は少子化を回復するのが難しい局面に突入している。若い人が減る一方で、高齢者の中でも85歳以上の人口が増えるため、認知症患者など健康や生活に課題を抱える人の数は増える。1人の働き手が自分以外にもう1人を支えなければいけない時代がやってくる。
では、地域はどうしたらよいのか。今の高齢者は健康で、スキルも上がっている。健康度で高齢者を定義すると、65歳以上を高齢者とする現在の定義では2065年の高齢化率の見通しは4割だが、新しい定義では2割となる。自治体も民間も、その点をうまく生産性につなげていく必要がある。人口を量だけで見るのではなく、質を見て、活用することを考えれば活路はある。全ての人が制約なく潜在能力を発揮できる社会に仕組みを変えることが、高齢化を乗り越える手段だ。
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