ICT活用し、厄介者を捕獲 酒田と山形の両市、農作物の食害受け

2023/5/29 11:31

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 クマやイノシシによる相次ぐ農作物の食害などを受け、酒田市と山形市は本年度から、情報通信技術(ICT)を活用した捕獲に本格的に取り組む。箱わなに赤外線や振動を感知するセンサーなどを取り付け、畑を荒らす厄介者を効率的に捕らえる。デジタルトランスフォーメーション(DX)の力で、有害鳥獣対策に携わる猟友会などの高齢化や人手不足を補う。

 酒田市が本格実施するのは、箱わなに赤外線センサーとカメラを設置したシステムだ。クマやイノシシがわなにかかり、扉が閉まると、センサーが反応し、カメラで内部を撮影。隊員のスマートフォンなどにメールで通知と画像が一斉送信され、厄介者は“御用”となる仕組みだ。昨年度、酒田市が箱わなを仕掛けたのは15件。このうち広岡新田と生石の2地区で、NTT東日本山形支店と連携し、このシステムの実証実験を行い、計3回の設置で、クマ1頭の捕獲に成功し、通知や画像も正常に送れることを確認した。

 市環境衛生課によると、同市の鳥獣被害対策実施隊は県猟友会酒田支部員など約40人で構成している。平均年齢は68歳で、70代が半数を占める。高齢化と人手不足は深刻だ。通常の箱わなは仕掛けてから2週間、毎日2回の見回りをする。隊員の負担は大きい。見回りで市は1回当たり1人1900円を支払い、昨年度は115万円を支出した。新システム導入では負担軽減とともに、予算の節約も期待される。市は本年度、箱わな2台分のセンサーとカメラを約50万円で購入し、6月ごろから現場で導入する。

 山形市はイノシシ捕獲のため、市内で捕獲頭数が多い高瀬地区で箱わなに同様のシステムを導入した。カメラはないが、わなにかかると振動をセンサーが感知し、メールで通知する。導入費用は約120万円。酒田市同様に昨年度は試験的に活用し、本年度から本格的に現場で使用している。

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