NIBフロントライン

アリオンテック社長
山川裕幸氏
山川裕幸氏
【インタビュー】
 -業界と自社の現状を教えてほしい。

 「当社は半導体製造装置に使われる石英ガラス、シリコン製部品の製造販売を主力事業としている。近年、半導体はさまざまな分野の技術革新とともに需要が拡大している。現在は調整局面にあり、大手半導体メーカーの設備投資状況や米中貿易摩擦など懸念はあるが、中長期的に半導体の需要は高まり市場は拡大すると見込んでいる。それに伴い、当社が携わる製造装置向け部品も需要が伸びていくと見ている。その局面に備え、蔵王みはらしの丘に新工場を建設しており、今年3月後半に完成する。そこに本社機能を移転し、生産体制の強化と組織強化を図る。また、昨年1月には資本提携関係にあるフェローテック社と合弁で新会社を設立した」

 -求める人材、能力は。

 「コミュニケーション能力はもちろん、学ぶ意欲が高く、行動力と責任感がある人材を求めている。ものづくりの会社にとっての使命は常に技術レベルを上げていくこと。そのためには日頃から問題意識と高い情報感度を持ち、顧客が何を望み、自分たちに何が足りないかを気付ける謙虚な姿勢が大切だ。製品には作り手の見えない取り組みや思いが伝わり、品質に出る。ものづくりに真摯(しんし)に謙虚に向き合い、一つ一つの仕事に責任を持って取り組んでほしい。そして失敗に学んで次に生かし、改善につなげていくプロセスが最も重要だと考える」

 -人材育成の取り組みは。

 「現場で教えるOJT(実務を通じた訓練)をベースに、新入社員にはマナー講座、管理職には通信講座を受けさせ、業務上優位な資格取得に関係する外部講習・試験に費用補助をしている。働く人たちの価値観の多様化や働き方改革などで労働環境が変化する中で、育成する側の心構えの重要度も増している。近年は管理職を対象にした研修も外部講師を招き定期的に実施している」

 -仕事上で影響を受けた人物は。

 「大学卒業後に県内の銀行に入り、多くの方々から刺激や教えを受けて学んだ。中でも父である山川是明会長の姿から、特に判断と実行のスピードの大切さを学んだ。そのスピード感によって変化が激しい業界でしっかりと機を捉え、チャンスをものにしてきたのだと思う。ビジネスは何よりも信頼関係が大切だ。取引先各社をはじめ、多くの方々の支援や協力があって今のわれわれがある。その方々への感謝を忘れず、頂いている信頼や期待に応えていけるように社員と共に精進していきたい」

 ★山川裕幸氏(やまかわ・ひろゆき) 専修大商学部卒。県内金融機関での勤務を経て、2007年にアリオンテック入社。経営企画部長、調達本部長、専務を歴任し、18年より現職。山川是明会長は実父。山形市出身。42歳。

 ★アリオンテック 2002年に設立。半導体製造機器の部品、消耗部材、消耗部材システムの製造・販売を主力事業としている。12年には山形市の蔵王みはらしの丘に工場を建設した。近く同所に本社を移転する。東京、富山、京都に営業所がある。資本金9300万円。社員数は199人。本社は山形市松栄1の1の58。

【私と新聞】さまざまな分野に興味
 アリオンテックの山川裕幸社長が新聞に目を通すようになったのは就職活動がきっかけ。「きちんと読むようになったのは社会人になってから」と話す。

 銀行の新入行員研修で「新聞の読み方」を聴き、読む習慣が付いた。仕事に関する情報収集のツールとして利用しているほか「最近はお客さまとの会話で距離を縮めてくれるような地域の話題にも目が行く」。スポンサーをしているモンテディオ山形やパスラボ山形ワイヴァンズの情報は「一番詳しい山形新聞でチェックしている」。

 電子媒体も有効活用しているが「どうしても興味がある情報ばかりにフォーカスしてしまう」。新聞は見出しの工夫や写真、グラフなどのビジュアルから、さまざまな分野の記事に興味が引かれ、一通りページをめくるため「自分の視野を広げてくれる」と語った。

【週刊経済ワード】貿易統計
 製品や原材料の輸出入の状況を示す経済指標。輸出額が輸入額を上回ると貿易黒字、下回れば赤字になる。税関通過時の申告に基づき、財務省が国や地域、品目別に集計し、毎月公表。世界経済の回復を追い風に輸出が伸び、一時は収支改善が進んだが、原油高傾向のため昨年は単月ベースで赤字が多かった。米中貿易摩擦などで先行きの不透明感が増している。
[PR]