NIBフロントライン

アイ・エム・マムロ社長
高橋智之氏
高橋智之氏
【インタビュー】
 -業界の現状と展望は。

 「腕時計や精密機械部品のみ立ては、米中貿易摩擦の影響を受け昨年末以降、業績が低下傾向にあったが、最近は回復基調に変わってきた。例えば当社の発注元の時計メーカーが、中国で行っている米国向け商品の生産をタイに移管する方針を決めるなど、滞っていた流通が動きだしている。本年度後半は一層の回復が期待できる。ありがたいことに、不調のときも取引先には変わらぬ信頼を寄せていただいた。社員がモチベーションを落とさず、仕事してくれたことも大きい。今後は利用者のニーズよりも上を行く技術の習得が大切だと思っている。要求されたことをこなすだけでは見向きもされなくなる。そのための教育訓練が必要だし、一人一人の技術のレベルアップが欠かせない」

 -求める人材と育てる手法は。

 「社員の平均年齢が38歳と若いこともあり、道徳的な面がベースにきちんと備わった人材を増やしていきたい。私の座右の銘は、身近なことに気を付け自分をよく省みることを説く『脚下(きゃっか)照顧(しょうこ)』だが、この姿勢を忘れないことと、働く目的や責任をしっかり持てることが重要だ。そして会社を自分の家のように感じ、成長するために何ができるかを真剣に考えてもらえたらうれしい。そこがないと、せっかく知識や技術を身に付けても、かえって危なっかしい方向にいってしまう可能性がある。社員が外部の研修会や展示会に参加できる機会を設けて、さまざまな情報や知識を身に付けさせたい」

 -仕事上、影響を受けた人物や言葉は。

 「会計事務所に勤めた若い頃、先輩が『都会と違って、地方の会社はまちのインフラ整備から始めないといけないね』と言った。地方ではまちの活力の有無が会社の成長に直結する。だからこそ、まちづくりへの努力を惜しんではいけないということ。今それを強く実感している。また、創業者である先代が『落石や倒木を避けて早く通り抜けるのではなく、後から来る人のためにそれを取り除く生き方をしろ』と言ったことも忘れられない。フロンティア精神と献身的精神を失わず、地域活性化のために少しでも力を貸していきたい」

 ★高橋 智之氏(たかはし・ともゆき) 東京経済大卒。都内の会計事務所に勤務し1991年、真室川電機製作所(現アイ・エム・マムロ)に入社。2009年に社長就任。現在、もがみ北部商工会長、新庄法人会副会長も務める。真室川町出身。53歳。

 ★アイ・エム・マムロ 1972(昭和47)年創業の真室川電機製作所が前身。スピーカーの組み立てを主に行い、79年にデジタル式腕時計の製造を開始。93年に現社名となり、現在は腕時計や精密機械部品の製造、治工具などの設計・加工が中心。2010年に東根事業所を開設。年間売上高は約6億円。従業員約140人。本社所在地は真室川町大沢4160の3。

【私と新聞】「談話室」あいさつの参考に
 高橋智之社長は山形新聞1面「談話室」のファン。「タイムリーな話題を取り上げているが、導入部分では結論が読めず、三つぐらいの話が同時進行し、それが合致を見て結論に導かれるという構成が見事。推理ドラマを見るようだ。各種あいさつをする際の参考にもしている」と話す。

 ネットニュースは瞬時に項目が分かるが、解釈の仕方を誤ってしまう不安があるという。そこで山形新聞を含む複数の新聞で読み比べを行い、見方が適切かどうか検証することを心掛けている。

 4ブロックごとに豊富な話題が載る地域面も愛読する。「今でも十分記事はあるが…」と前置きしつつ、「子どもや学校の話題はとにかく多く載せてほしい。身近なニュースは地域を明るくする」と話す。そして、本県だけでなく宮城や秋田といった隣県の経済情報についてもっと報じてほしいと要望した。


【週刊経済ワード】郵便の全国一律サービス
 郵便サービスは国民生活に必要不可欠として、郵便法などで日本郵便に提供を義務付けている。サービスの水準については週6日、原則として1日1回の配達や、なるべく安い料金での提供、全国あまねく戸別配達するといった規定がある。このため日本郵便が要望する土曜休配などの実現には、法改正が必要となっている。
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