NIBフロントライン

ホリ・コーポレーション社長
堀直之氏
堀直之氏
【インタビュー】
 -自社の現状や力を入れている取り組みは。

 「在庫を充実させ、顧客が欲しい商品を欲しいときに提供できるようにしている。店舗での販売、サービスとともにインターネットでの販売に力を入れている。ネット販売がまだ普及していなかった2000年、同業他社に先駆けてスタッドレスタイヤの処分として始めた。豊富な在庫量と店舗、ネット両方での販売が強みとなっている。業務が拡大する中で重要になるのが効率的な働き方。RPA(ロボットによる業務の自動化)を活用し、倉庫の中でどの種類のタイヤがどこにあるかを瞬時に把握し、出荷できる独自の仕組みも構築した。こうした取り組みが評価され、今年2月には東北ニュービジネス大賞を受けることもできた」

 -求める人材は。

 「ネット販売など業務のデジタル化が進んでも、商品を買い、サービスを受けるのは人で、それを供給するのも人であることは変わらない。デジタル化や人工知能(AI)で業務の効率化が進む分、人がすべき仕事は何か、どんなことに時間や力を費やすべきかを考えられる人。人にしかできないことは何か、顧客にも社員にとっても、より便利で楽になることは何かなどを工夫する人だ」

 -求める人材になるための努力や必要な能力は。

 「成長や飛躍のチャンスは誰でも目の前を通っている。それを、つかめるかどうかが重要。つかむためには、さまざまなことを感じる心、考えるマインドが重要だ。当たり前、常識と思われていることも『これでいいのか』と考えることを習慣化することを大切にしてほしい」

 -仕事や人生で影響を受けた人物は。

 「1円の経費の重みを理解しながら、大胆に何億という投資もできるという面で、日本マクドナルドホールディングス元会長の原田泳幸氏の経営理念に刺激を受けた。あとは、やはり創業者の父・勇。モトクロスのプロライダーを辞めて帰郷し、タイヤ店を営み、いまの基礎を作った。高校からアメリカに行かせてくれたのも大きい。現在の本社や倉庫が移転、新築したのを見届け、5年前に69歳で亡くなったが、ワイルドな人でいろいろ影響は受けていると思う」

 ★堀直之氏(ほり・なおゆき) 旧酒田五中を卒業後、米国で高校・大学時代を過ごし、経営を学び野球とアメリカンフットボールに打ち込んだ。帰国後、大阪府内のタイヤ店で修業。1996年に前身の堀商事に入社し店長、営業部長を経て2009年から現職。48歳。

 ★ホリ・コーポレーション 堀直之社長の父、故・勇氏が1975年に酒田市内で堀商事を設立。2008年にホリ・コーポレーションに社名変更。国内外メーカーのタイヤ、ホイールを扱う。ネット販売「タイヤ1番」にも力を入れ、「ホリタイヤ酒田店」では店頭販売やサービスを提供。資本金1300万円。従業員25人。本社所在地は酒田市京田4の5の2。

【私と新聞】情報、ビジネスに生かす
 堀直之社長は昔、経済紙を見ることが多かったが、今は山形新聞も毎朝読むのが習慣だ。「隅々まで目を通し、しっかり読むところは読み込む」という。「人は目の前で起きていること、世の中の出来事を分かっているようで、よく理解していないことも多い」と、新聞を読む意味を挙げる。
 政治、経済、地域ニュースまで読み「直接関係ないと思っていても、あるとき自分たちに結び付くときがある」。酒田市がペイペイを活用した消費喚起キャンペーンを展開する情報も新聞から得て、ビジネスチャンスにつなげた。「情報は早く知ることが大事」と話す。
 地域貢献活動などを通して地元や県内で会社を知ってもらう際など、地元紙の力が大きいと感じている。「今後も良いニュースで取り上げてもらえるように、頑張りたい」

【週刊経済ワード】経済財政白書
 内閣府が経済、財政に関する分析や今後の進路に関する提言を年1回まとめる報告書。正式名称は「年次経済財政報告」。1947年に公表が始まった前身の経済白書を含め、今回で75回目となる。「もはや戦後ではない」(56年度)など時代を映す名文句を残したことでも知られる。2020年度は、デジタル化への投資を通じた内需喚起による成長の実現を訴えた。
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