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BX東北鉄矢社長
高木利久氏
高木利久氏
【インタビュー】
 -自社や業界の現状は。

 「オフィスビルや公共施設、工場、学校のスチールドアなど鋼製建具、防火設備を製造している。北海道や首都圏、新潟県などから発注があり、メインは東北地方。2019年までは東京五輪パラリンピックに向けた建設需要で受注が多かったが、新型コロナウイルス感染拡大や鋼材価格高騰などの影響で工期を遅らせたり、建設計画を控えたりする動きもある。生産効率を高める工法を取り入れ、利益をより一層上げることが重要になっている」

 -求める人材は。

 「コミュニケーションを取ることに積極的な人を求めている。作図、切断、組み立てなどの工程を経て製品は作られるが、スムーズに作業が進むためにはコミュニケーションが大事という意識を持ち、仕事に臨んでもらいたい」

 -仕事ではどのような能力、スキルが必要で、身に付けるためにはどんな努力をすべきか。

 「目標を設定して計画を立て、行動と振り返りを重ねることが大切だ。前例踏襲ではなく工夫することを心掛け、まず、やる。それを繰り返すことが新しい発見につながり、自身が成長する。そうするためには、仕事に対する好奇心、問題意識を持たなければならない」

 -人材育成の取り組みは。

 「入社してから約3カ月間は組み立て工程を担当し、製品知識などを身に付けた上で各配属先に分かれる。業務を実践しながら必要な技術や知識を身に付けるOJTを基本とし、社内の立場に応じた研修も行っている。社員が幸せを感じられないと会社は続かないし、優れた製品をお客さまに提供することができないと考えている。会社の成長と社員の幸福感の好循環が進むように、今後も努める」

 -影響を受けた人物は。

 「文化シヤッターで住宅建材を扱う事業部に所属していた際、上司だった矢吹義夫元取締役常務執行役員の働き方に感銘を受けた。他社と意見を交わしながら製品の改善を図ったり、グループ単独の商品展示会を開いたりし、固定観念にとらわれない発想の大切さを学んだ。自分自身は頭の固い方なので、見習いたいと感じた」

 ★高木利久氏(たかぎ・としひさ) 東京工芸大を卒業後、1986(昭和61)年に文化シヤッター入社。住宅建材関係の商品開発業務などを担当した。同社小山工場生産管理部長から2020年にBX東北鉄矢社長に就任。趣味は草野球。東京都出身。59歳

 ★BX東北鉄矢 1979(昭和54)年、東北鉄矢工業として創業し、87、90年に工場を増築。2013年に文化シヤッターの完全子会社となり、現社名に変更、15年に新事務所を建築した。若者の採用・育成に積極的で、山形労働局から21年、雇用管理の状況が優良な「ユースエール認定企業」に認定された。従業員数25人、資本金4700万円。本社所在地は鶴岡市田代字広瀬16。

【私と新聞】身近な技術開発をチェック
 「気持ちよく出社してほしい」と、だれよりも早く出勤して雪かきをし、その後に新聞を読むのが日課になっている高木利久社長。新聞は1面から順に見て、興味を持った政治経済関係の記事を深く読み込む。
 スマートフォンの無線充電など身近な技術開発の他、トップとして、さまざまな会社の方向性がどう示されているのかに関心が向く。商売柄、鉄鋼メーカーの動向が特に気になり、鋼材価格の変化にも注目している。重要と判断した記事は関係部署にメールで送ったり、社内に貼ったりして情報共有を図っている。
 新聞の特長として、社会の幅広い情報が得られることを挙げる。「紙面をめくりながら目を通すことで、普段興味を持たない分野の話題も知ることができる」とし、「個人的には紙の方がじっくりと読める」。地域の動きを細やかに、正確に伝え続けることを求めた。

【週刊経済ワード】液化天然ガス(LNG)
 メタンが主成分の気体の天然ガスを、運搬や貯蔵がしやすいように冷却し液化したもの。都市ガスや発電所の燃料に使われる。石炭に比べ、燃焼時の二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない。日本ガス協会によると、2018年時点では世界の輸入量のうち日本が2割を占め、最大。中国、韓国などが続き、7割をアジアが占める。
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