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竹本産業社長
竹本栄蔵氏
竹本栄蔵氏
【インタビュー】
 -自社や業界の現状は。

 「国産豚の脂を主力商品としている珍しい業態の会社だと思う。全国でも少なく、東北でこうした業態はうちだけ。脂はハム、ソーセージ、冷凍食品、ラーメンスープ、サラミなどの珍味に必要な材料。牛や鶏も少し扱っているが、豚の脂は月平均で300トン、4500~5千頭分を加工している。米粒状に脂を細かくし、瞬間凍結させる加工は特許を取り、うちだけの技術。サラミに入っている脂の7割を占めている。平田牧場や大商金山牧場など地元の食肉生産・加工業者の脂も扱っている。ラーメンなどの『こってり』『背脂』などと表記がある商品には多く使われている。コロナ禍で外食チェーン店などの需要は減ったが、即席麺やレトルト食品の需要増の恩恵は受けている」

 -求める人材は。

 「新卒者も採用しているが年齢にこだわっていない。50歳前後でも、やる気のある人は受け入れている。経験豊富な分、うちの仕事についても理解が早く、即戦力になってくれる。前職の業種にもこだわっていない。30代の女性が入社するケースもある」

 -仕事への姿勢や重視している能力は。

 「食品を扱っている企業だということを理解してほしい。品質と安全性を重視しているので、現場で不安なことや疑問があれば『大丈夫だろう』ではなく、質問したり声を上げてほしい。異物混入などがないよう、入念な検査をして商品を出している。言われたことをこなすだけでなく、自分で考え創意工夫して動くことが重要だ。全国にうちの商品が流通していることを意気に感じ、もっともっと、いきいきと働いてほしい」

 -影響を受けた人物は。

 「同業の大手食品加工会社(東京都)の取締役として40年ほど前に酒田に転勤し庄内に来た。新設した鶴岡工場を任された後、退職し、いまの会社を作ったが、その際、大商金山牧場の小野木覚会長に背中を押されたことが大きい。あとは古巣の会社の社長だ。競合相手にはなったが、自分の職業人としての基礎をつくってもらった。あのときがあったから、いまの自分があると思う」

 ★竹本栄蔵氏(たけもと・えいぞう) 富山県氷見市出身。中学卒業後、社長が同郷の縁もあり東京都内の大手食品加工業者に就職。取締役となって1980(昭和55)年に鶴岡工場新設のため転勤で酒田市へ。鶴岡工場長を務め、85年に独立した。70歳。

 ★竹本産業 酒田市新堀で豚脂の加工業者として1985(昭和60)年に創業した。2004年、製造・加工の拠点を酒田市から遊佐町の鳥海南工業団地に移し豚脂の粒状加工では特許も取得。大手食品会社から多くの受注があり、即席麺のスープ、冷凍食品、珍味などの原料を供給。豚足や豚モツの総菜も製造している。資本金4千万円。従業員77人。本社所在地は酒田市あきほ町655の2。

【私と新聞】地域の出来事、把握する
 庄内地域に移り住み、会社を構えた竹本栄蔵社長は「山形に来てから山形新聞一筋」と語る。地域の話題や社業に関連のあるニュースなどの最新の情報を新聞から得ているという。
 朝は一通り見出しをチェックし、その日のトピックを確認するという。出社後は他紙とも見比べて、気になる記事を読むという。「営業マンは私が筆頭」という竹本社長。最近は発注も増え、夜遅くまで仕事をすることもあるという。帰宅後、軽く運動をして、食事を取りながら山形新聞を再度じっくり読むのが習慣となっている。
 気になるのは仕事に関わる記事だけではない。「社会面の事件や事故の記事もよく読む。世の中や地域で起きていることをしっかり把握しておく必要がある」という。細かいニュースまで載っていること。それが地元紙の良い点だと強調した。

【週刊経済ワード】国債
 国が借金をするために発行する債券のこと。日銀や金融機関などに市場を通じて購入してもらうことで資金を調達する。資産が長く残る公共事業などに使い道を限った建設国債と、歳入不足を補うための赤字国債がある。新たに発行する建設国債と赤字国債を合わせた額が新規国債発行額と呼ばれる。返済に当たる償還までの期間は1年以内から最長40年まであり、通常は期間が長いほど債券の金利は高くなる。
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