チェリーランドさがえ社長 本間安信氏 |
【インタビュー】
-業界の現状と求めている人材は。「道の駅寒河江チェリーランド(寒河江市)での施設運営や指定管理者の業務などに当たっている。新型コロナウイルス禍で観光流動が縮小する中、大型施設は団体旅行の減少などによって厳しい状況が続いている。個人客に対応するためのメンバーズカード導入など、業界の各施設がポストコロナに向けて動いているが、単独の取り組みでは限界がある。連携した取り組みが必要だ。そうした中、一人で成功を追い求めるのではなく、社内の問題点解決、顧客満足度や付加価値をどう高められるかについて、幅広く同僚と協調できる人材が求められる」
-社員にはどのような能力が必要で、そのためにどんな努力をするべきか。
「私の経営目的は、関係する道の駅、サービスエリア、アンテナショップをそれぞれ日本一にすること。そこで働く人たちには、自分の中の日本一を持ってもらいたい。『私の笑顔は日本一です』『私の商品知識は日本一です』といった強い思いが、それを実現するための努力に結び付く。プロとしての自信と誇り、連携と協働、自分自身の付加価値を高めることが、疲弊している経済環境の中で選ばれる施設につながる」
-人材育成の方法は。
「企業自体が育たなければならない。旧態依然とした文化を捨て、時代に合わせて評価制度や働き方を変え、ワークライフバランスを実現させることで、働く人も成長すると考える。社内でワークショップを開いて改善点を話し合ったり、お客さま目線で問題点を知るためにミステリーショッパー(覆面調査)を導入したりもしている」
-影響を受けた人物は。
「父(満さん)と母(欣子さん)。チェリーランドさがえ創業者で、料理人の経験もある父からは、お客さまに幸福感という情緒的価値を提供することの大切さを学んだ。元銀行員の母から教えられたのは、数字の大切さ。部門ごとに目標売り上げを設定し、道筋を明確にすることができた。そして何より、世の中のさまざまなことを教えてもらい、触れさせてもらい、育ててもらったことが自分の礎になっている。この紙面を通し、感謝を伝えたい」
★本間安信氏(ほんま・やすのぶ) 鶴岡三中から仙台育英高に進み、法政大経済学部卒業後に東京での起業を経て、2016年にチェリーランドさがえ入社。19年に常務から社長に就任した。小売・飲食業の白糸の滝社長なども務める。鶴岡市出身。41歳。
★チェリーランドさがえ 寒河江市、県、地元企業の出資を受け、第三セクターとして1990年に設立。91年に開業し、93年に道の駅に登録されたチェリーランドの指定管理者を務める。山形自動車道寒河江サービスエリアに99年、休憩施設をオープン。東京・銀座に2009年に開設された県アンテナショップおいしい山形プラザの運営にも携わる。チェリーランドに21年、カフェ「チェリーカフェシュシュ」を開店。従業員数61人、資本金3千万円。本社所在地は寒河江市八鍬川原919の8。
【私と新聞】山形をもっと好きに
本紙を毎日欠かさず読んでいるという本間社長。出社してから全ての紙面に目を通す。「一枚一枚めくりながら読んでいくと、興味の有無に関係なく、県政の行方、県内のイベントや頑張っている人の記事に出合える」と愛着を語る。
おくやみ欄や、経済関連の話題は特に念入りに読む。最近では、西川町が職員の名刺のデジタル化を進めている記事について、「こんな取り組みもあるのか」と興味を覚えた。それぞれの記事に記者の名前が載っていることで、個性や親しみを感じるとも指摘する。
インターネットのニュースも活用するが、関心のある分野ばかり探して読んでしまう傾向があるという。「新聞記事を通した出合いは、知識や思考に幅を持たせ、山形をもっと好きにしてくれる」。観光業に携わる立場から、山形を全世界にPRしたいというモチベーションにつなげている。
【週刊経済ワード】外国債券の含み損
米国債に代表される外国の債券の価格が買った時を下回って、売却すれば損失が出る状態のこと。買った時の価格を上回って、売却すると利益が出る状態を「含み益」と呼ぶ。外国の債券に限らず、債券の価格は株価と同じように取引によって変動するため、含み損になったり、含み益になったりする。日本の金利は日銀の大規模な金融緩和策で極めて低い。銀行は国内では企業への貸し出しなどで十分な利益が期待できないとして、金利が高い外国の債券への投資を増やしていた。